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2010年に掲載された記事

レンズから印画紙までナノコーティングできる次世代技術
        レンズから印画紙までナノコーティングできる次世代技術” 3月23日5時於半蔵門・JCIIビル。第5回JPEA(写真映像経営者協会)コラボレーション・フォーラムは慶應義塾理工学部・白鳥世明准教授による “ウェットプロセス・ナノコーティング技術と応用”。交換レンズにナノコーティングが施されるようになってきたが、白鳥准教授が開発したウェットプロセス 技術は水を使ってナノ単位で薄膜コーティングをする次世代技術。白鳥准教授は新技術を事業化するベンチャー企業“慨NT”の代表取締役も務める。

現在ナノコーティング技術は真空蒸着法が一般的だが、製造施設を作るために億単位の費用がかかる上に、複雑なレンズ曲面に均一にコーティングする ことは難易度の高い技術が必要。ウェットプロセスは静電気を利用して水中で薄膜を作る技術で、パソコンを使ってナノメートル(1ミクロンの1/1000)単位で コーティングの厚さをコントロールでき、曲率が大きいレンズにも均一にコーティングすることが可能という。この技術はレンズのコーティングだけでなく、 超撥水の特徴を活かして防水スプレー。五輪の水泳で使われた水着・レーザーレーサーのような素材。自動車の洗車時にワックス代わりにコーティング するなどの民生用途が考えられているが、技術研究を進めて超撥油にすることで、水や油を弾く普段着の素材。レスキュー隊や宇宙飛行士の素材。 血栓ができにくい手術用の処置器具など産業用素材への応用研究も進んでいる。

フォトブックのコーティングに

今回のフォーラムに参加した会員の多くは交換レンズメーカー、光学部品メーカー。ウェットプロセスには膜を形成する時間がかかるなど弱点もあるが 「真空蒸着とウェットを併用するとレベルの高いコーティングを施したレンズができる」。「次世代のコーティング技術として夢が広がる」と云いながら レンズ製造への応用に関心を持っていたが、記者は水を弾く印画紙に注目した。ナノコーティング素材を防水スプレーで半切りの印画紙に吹き付けた ものだが、コーティングした印画紙に水をかけると撥水作用で水がコロコロになる。写真専門店やスタジオ兼業店でフォトブックの内製化をする店が 増え始めているが、高温多湿な日本では印画紙、インクジェット紙とも写真をコーティングすることが不可欠。中小店にとって液ラミやUVニスをコーティング する機械は高価なことからカーワックスで代用している店もある。

試作品のスプレーは350ml程度で一本1万円もするが「生産ロットがトン単位になればコストは大幅に下がる。(記者:コストはA4一枚20円程度になります? の問いに)量がまとまれば1uのコストは50円程度になるので、写真店でも採算がとれるでしょう。均一に塗布する機械も50〜100万円程度で作れます」 (白鳥准教授)と。