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2008年に掲載された記事

血栓付着防止で新技術”医療器具向け薄膜加工 費用100分の1”
血栓付着防止で新技術”医療器具向け薄膜加工 費用100分の1” 慶應義塾大学工学部の白鳥世明准教授と慶大発ベンチャーのSNT(川崎市幸区、白鳥世明社長、044-580-1566)は、 真空成膜の100分の1以下の費用で医療器具への血栓の付着を防ぐ薄膜加工技術を開発した。 材料に電荷を持たせて織物構造にし、血栓の形成を初期段階で抑える。 安価で量産に向き、手術用具や内視鏡のほか、 薬物の投与量や効力を時間的に制御するドラッグデリバリーへの活用も見込める。 医療機関と協力して評価試験を重ね、2013年の製品化を目指す。

抗血栓手術では、器具に血栓が付着して施術を妨げるほか、手術後も血管の再狭窄が起こりやすい。 施術用のカテーテルや定置式のステントには抗血栓性が必要なものの、 真空下での表面改質は高価で生産性が低く、安価なウェット加工も接着用の溶媒が人体に有害などの課題があった。

新製法は白鳥准教授が開発した装置による「交互吸着法」を応用。ナノ単位の膜厚制御で表面電位を調整し、 織物構造への組織化を促す。負の電荷と織物構造が血栓の形成を防ぎ、光の透過率を5%以上高める。 生体親和性の高いポリビニルアルコールやポリアクリル酸を 塗布とリンスの繰り返しにより静電力で基材に固着させる。 200ナノ―400ナノメートル(ナノは10億分の1)の薄膜をロール装置で加工するため1日数万個の量産が可能。

カネカとの実験では100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の開口部を網目状に空けた ステンレスメッシュを豚の血管に血流と垂直に埋め込んだ。 未加工のものは5分後に血栓が血流を止めたのに対し、加工したものは計測限界の15分後も血栓ができず血流を妨げなかった。

薄膜製造 コスト100分の1”三菱マテリアルテクノなど 交互吸着法で装置”
薄膜製造 コスト100分の1”三菱マテリアルテクノなど 交互吸着法で装置” 三菱マテリアルテクノ(東京都千代田区、青木剛社長、03-3221-1741)は、 慶應義塾大学理工学部の白鳥世明准教授とSNT(川崎市幸区、白鳥世明社長、044-580-1566)が開発した、 「ロール型交互吸着膜製造装置」を発売した。

新製法により真空スパッタリング装置の100分の1以下の費用で透明導電性フィルムなどへの加工が可能。 価格は幅1m×長さ30mのシート用で5000万円から。 用途に応じて設計し、SNTが技術指導もする。液晶関連メーカー向けに年30億円の売り上げを目指す。

海外大手メーカーが携帯電話にタッチパネルを搭載するなど、特殊フィルム市場は年々拡大している。 低コスト化の要求が高まる一方で、真空装置は設置に10億円程度を要し、維持費用も数億円以上。

これに対して新装置は、室温で稼動し有害なガスも不要なため、設置から加工、維持までの費用を大幅に低減する。

装置には「交互吸着法」と呼ぶ製膜方法を採用。 正と負の電荷を帯びた導電性高分子液の槽にフィルムを交互に浸し、各槽の通過後に洗浄を繰り返す。 これにより、フィルム上に静電力で固着した層が残り、余分な層を除去。 真空装置では困難な基板両面や曲面への加工ができ、数十ナノ〜数百ナノメートル(ナノは10億分の1)までの厚さで、 1ナノメートルの膜厚を制御する。シートの送り速度は毎分約10メートル。薄膜は3000回の曲げにも耐える。

反射防止膜や帯電防止膜などあらゆる製膜に対応。SNTは新装置で参入できる市場は2000億円以上と試算しており、 大企業から中小企業まで新市場への参入が増えていくことも期待される。